遺言とは

人はこの世に生を享けたときから、いつかは必ず死を迎える時がきます。それがいつかは分かりません。
人生100年時代と言われていますが、突然の事故や災害、病気で命を落とす人もいれば、あるいは天寿を全うする人もいるでしょう。
人それぞれの人生ですが、生きているうちに、家族や自分の愛する人に自分の意志を書き残しておくことは大事なことです。
遺言とは、故人の最終の意思表示ということになります。
自分の意思を家族や自分の愛する人に伝える方法として、遺言の他にエンディングノートが一般的なものでしょう。
エンディングノートに関しては、別のコラムで書きますが、遺言書とエンディングノートの一番の違いは、法的効力を持つか持たないかが一番大きな違いです。
また、「遺書」は、自分の死後に関して、亡くなる前に自分の意思や思いを伝えるものであり、家族や友人宛に自分の気持ちを伝えるというものになります。中身はどのように書いても問題ないですが、法的効力を持つ文章にしたいときは、以下の「遺言書」を書くことが必要になります。
(「遺書」であっても、「遺言書」としての法的要件を満たしていれば、法的効力を発揮させる場合もあります)

遺言書を書く意味は?

一番大きな意味は、遺産相続でしょう。本人が亡くなったあと、家族、親族の間で争うことを避けるためには遺言書を残しておけば、仮に相続に関して争いごとが起きても、その場を収めることができるでしょう。
仮に遺言書を書かなくても法定相続という制度があり、遺産分割は民法で定められた割合を基準として相続人に分割されます。円満に分割が終われば良いのですが、そうでない場合は、遺言を残すことで争いなどを回避することができますので、遺言書は書いておいた方が良いということになります。
自分には「たいそうな財産もないし、遺言書なんて作らなくてもいいか。」と思われている方も多いと思いますが、遺言書を作成していない場合は、法定相続(民法で定められた法定相続人が法定相続分のとおりに相続)になります。自分の財産の分割に関しては、法定相続で問題ないと思われている方も、いざ自分が亡くなって自分の家族、親族が相続人になった場合、財産の大小に関わらず遺産分割ではそれなりの争い事が起こることもしばしばあります。
また、自分がこの世に生まれて、さまざまな人生経験し、生活している中で、自分の家族、親族以外の方に自分の財産を残したいと思われる方もおられると思います。籍には入れていないが長年連れ添った人に、あるいは婚姻届が出せない同性パートナーに自分の財産を残したいと思われる方もいるでしょう。
遺言書は自分が亡くなった時に自分の愛する人に対して自分の意思を伝え残せる最後のメッセージです。

遺言書とは?

遺言書は満15歳から書くことができます。
明治民法で定められた年齢をそのまま踏襲しています。

また、遺言は要式行為(本人の意思表示だけではダメで、契約書など一定の書類を作成することを必要としています)であり、民法の定める方式に従わなければ不成立または無効になるかもしれません。

遺言書には種類がある?

民法では、普通方式の遺言を以下の3種類定めています。
○ 自筆証書遺言
○ 公正証書遺言
○ 秘密証書遺言

以下、簡単にそれぞれの遺言の説明をしていますが、詳しくは別のコラムでも紹介します。

自筆証書遺言

遺言書自体と日付、氏名を自筆で書き、押印しなくてななりません。自筆となりますので、必ず本人が書くことになります。他人の代筆やPCを使用して書くことはできませんし、他人が修正できないペン(鉛筆などはNGです)で書く必要があります。
ただし、遺言の内容に関して、法律的に不備があると無効になる場合もありますので、遺言内容に関しては注意が必要になります。
また、遺言書の保管に関しても、紛失、隠匿、偽造、破棄等の可能性もゼロではありませんので十分注意する必要があります。
自筆証書遺言書は、本人が亡くなったあと、家庭裁判所で相続人全員に立ち合いながら遺言書を開封する(「検認」)という手続きが必要になります。
*自筆証書遺言には、財産目録を添付することができますが、財産目録を書いた紙自体は自筆ではなくパソコン等で書いても、本人以外の人が書いても問題ないことになりました。ただし、財産目録の各頁には署名押印する必要があります。
*自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになります。(遺言書保護法)
(2020年7月10日から施行)

公正証書遺言

公証役場の公証人に対して遺言者本人が遺言の内容を伝え、その内容に基づいて公証人が、遺言の内容を文章にまとめ公文書として残します。
本人確認のため、実印、印鑑証明書、戸籍謄本などを揃えて、2人以上の証人と共に公証役場に行き遺言書を作成すします。
公正証書遺言は、公証人によって公証役場で保管されますので、紛失や偽造の心配もなく、一番安全で確実な方法です。ただし、遺言の内容に関して、公証人や証人に知られてしまいますので、どうしても遺言内容を誰にも知らせたくない場合は、自筆証書遺言や秘密証書遺言にすると良いかもしれません。
公正証書遺言には作成にあたり少し高めの費用が発生するところが他の2つの遺言書と異なるところで、ある意味、デメリットでしょうか。
費用には、公証人の作成手数料、必要書類(印鑑証明など)の交付手数料、証人の立会手数料などが発生します。
*公証役場とは、公正証書の作成や私文章の認証など行う法務省に属する機関です。全国に約300ヶ所ほどあります。あまり馴染みがないと思いますが、以前TVドラマの主人公が公証人として出演されていましたので存在自体は知っている方もいるかもしれません。

秘密証書遺言

公証人と2名以上の証人の立ち会いのもと、公証人に遺言の存在を証明してもらう遺言のことです。
遺言内容に関しては、第三者に知られることなく秘密にしたまま封をしますので本人以外は内容を知ることができません。
注意すべきは、遺言書の押印した印鑑と遺言書を入れた封筒に封印する印が同じである必要があります。また、遺言書の内容には一定の要件もありますので、遺言自体の記載に不備があると無効になる可能性もあります。されに家庭裁判所での「検認」も必要となります。
遺言書の保管に関しても公証役場で保管されるわけではなく、本人が保管責任(信頼できる人に保管のお願いするなど)を持ちますので紛失等の可能性もあります。
なお、この秘密証書遺言は、自筆である必要はなく、パソコン等で作成が可能です。
費用に関しては、公証人に11,000円の費用と証人の立会手数料などがかかります。
この秘密証書遺言はメリットが少なく現在ではあまり活用されていません。個人的にも今後遺言書を作成するとなれば自筆証書遺言や公正証書遺言をおすすめします。

遺言書に書く内容とは?

遺言書に書く内容は基本自由ですが、法的に拘束力を持たせる内容は決まっています。
相続割合の指定(財産の処分)
誰にどの財産を相続させるかを具体的に指定します。
例えば、この土地、建物は長男に相続させる。預貯金は、次男に相続させるなど。
相続人の廃除と廃除の取消
自分に対していつも暴力や意地悪を受けていて、その人に財産を相続させたくない場合、相続人から廃除できます。
相続分の指定
本来の法定相続と異なる割合で財産を相続させることが可能です。
遺産分割方法の指定
遺産分割に関して、あらかじ分割方法を指定できます。例えば、長男に不動産(家と土地)を相続させる代わりに、妻と同居して面倒を見てもらいたいなど。
遺産分割の禁止
本人の死後、5年以内は遺産分割を禁止することができます。
遺産相続における担保責任の指定
相続した財産に問題がある場合、例えば、土地を相続したがその土地の価値がほとんどなかった場合など、他の相続人と比較して不利になった場合の担保を受けることができます。
遺贈
法定相続人以外に財産を相続させることができます。最近は、遺贈寄付といった社会貢献をすることも可能です。
遺留分の減殺方法の指定
遺留分(相続人に対して法律上必ず残しておかなければならない財産の一定割合)を侵害された相続人が遺留分を請求した場合、あらかじめどの財産から遺留分を支払うか決めておく必要があります。
子供の認知
認知していない子供(内縁の妻が生んだ子供など)を認知して財産を相続させることができます。
未成年後見人、未成年後見監督人の指定
自分の子供が未成年でまだ心配となった時、自分に代わって子供の監護や財産管理をしてくれる未成年後見人を指定することができます。
遺言執行者の指定
自分の財産の管理において手続きが必要となる場合(銀行預金の引き出しなど)、遺言の内容を実行するための遺言執行者を指定できます。
祭祀継承者の指定
祖先の祭祀を主宰する祭祀継承者をしてできます。
一般財団法人の設立
遺言によって、一般財団法人を設立することができます。
信託の設定
遺言者が信頼できる法人、個人に対して自己の指定する財産を特定の目的(信託目的)に従い、管理、給付、処分等することができます。


これらの項目の全部を記載する必要はありませんが、相続、財産の処分、身分、遺言の執行に関することを記載する方法を考えましょう。

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